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クリニカルレポート

NSK Clinical Report 11iProphyで患者さんにも術者にも快適な処置を!

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池田 育代

医療法人社団アイ・ティ会 武田歯科医院

池田 育代

はじめに

 「歯面研磨」は、歯のザラつきや着色の除去のみならず、歯面を研磨することでプラークや歯石を付着させにくくし、歯周病予防の一環としてSRP後やメインテナンス業務上、欠かせない処置となっています。また、患者さんにとっては苦痛がなく、かつ歯面の滑沢感や爽快感を味わうことのできる快適な処置であるため、ハイジーンワークの中でも「仕上げ」のスペシャルケアと筆者は位置づけています。それだけに筆者は、患者さんに心地よくスペシャルケアを受けていただけるよう日々心がけています。特にメインテナンスでは患者さんの継続的受診の動機づけとして効果的と考えます。
そんな筆者が歯面研磨時に使用する機器のひとつが、今回ご紹介するコードレス歯面研磨器「iProphy」です。本稿では、術者にとっての操作性の良さが患者さんへの快適な処置の提供につながるのではという観点から、本機器の使用ポイントについて解説します。

1. iProphyの特徴

 歯科衛生士にとって従来のコード付きコントラは、コードが重く扱いにくいことから、処置時の疲労感が増すものでした。「iProphy」は、軽量かつコードレスの研磨用コントラであり、歯科衛生士をコードの煩わしさから開放してくれます。コードレスなので頬側から舌側、下顎から上顎とハンドルの向きが大きく変わる場面でも、スムーズな操作が可能です。また、iProphyの重さは116g(モーターハンドピース、コントラアングルヘッド含む)と大変軽量で、術者の負担も大きく軽減することができます。さらにヘッド部分は、細くて長いネックと超ミニヘッドとなっており、頬粘膜により入りにくい上顎大臼歯頬側面や、舌が邪魔して操作しにくい下顎大臼歯舌側面にも挿入しやすくなっています。回転数を表すパワー設定も5段階とシンプルです。

2. iProphy使用時の留意点

 歯面研磨の目的は、あくまでも歯面を滑沢化することであり、エナメル質表面にダメージを与えてはなりません。「iProphy」使用時にも、歯面への負担を極力軽減するため、以下の事項に留意しましょう。

①パワー設定
 筆者は主にパワー2で使用しています。使用しているブラシやラバーカップの最大回転数を踏まえつつ、歯面への過剰な負担を軽減するためです。目的に合わせてパワー設定をしているため、歯面の状態に合わせブラシ使用時はパワー3を選ぶこともあります。※各ブラシやラバーカップに定められた最大回転数以下でご使用ください。

②歯面への圧力
 ペーストを塗り込むイメージで歯面を滑らせるように操作します。ブラシは歯面を傷つけないよう柔らかい毛質を選択しています(図1-a, 図1-b, 図2-a, 2-b)。ラバーカップも歯面に負担の少ない柔らかい材質を選択しています(図3)

③ヘッドの動かし方
 正回転(右回転)を意識し、逆回転(左回転)の力が加わらないようにします。回転機器は右回転をしているため、回転に逆らって操作してしまうとブラシやラバーカップの消耗につながるだけでなく、歯面への負担にもなりかねません。
 また、目的に応じて使用するペーストの成分にも配慮が必要です。筆者は歯牙表面のトリートメント効果を期待し、アパタイト系やフッ素が含有されているペーストを主に使用しています。

 ブラシは、パウダーメインテナンスを施すほどでもない少量のステイン除去時に使用します。その場合のペーストはラバーカップの使用時とは異なり、粗い研磨剤が配合されているペーストを使用します。基本的に硬い毛質のブラシはエナメル質表面への負担が大きいので、筆者が日常臨床で使用することはありません。

まとめ

 毎日の臨床で使用する機器は、施術者の負担が少なく、患者さんに快適な施術を提供できることが重要と考えます。コードレス歯面研磨器は、そのようなニーズに応える機器だと感じます。筆者も臨床で使用する中で、その利便性を実感しています。

※医院での事例紹介や個人的な感想も含まれます。



池田 育代 Ikuyo Ikeda

  • 1997年 大阪府歯科医師会付属歯科衛生士専門学校卒
  • 1998年 貞光歯科医院勤務
  • 2008年 大阪 SJCD DHコース インストラクター / SJCD レギュラーコース インストラクター
  • 2015年 武田歯科医院勤務

  • 日本顎咬合学会
  • 日本臨床歯周病学会