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クリニカルレポート

NSK Clinical Report 14Ti-Max Z Series がもたらすデジタル時代の快適で効率的な歯科治療

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植松 厚夫

ウエマツ歯科医院 院長

植松 厚夫

はじめに

 歯科用エアータービン開発における長年の課題は、安定性が高く、かつストレスなく歯を切削するための最大速度とトルクの調和、口腔内での操作性の確保であった。今回、その課題に挑むべくナカニシの技術が生み出した「DYNAMIC POWER SYSTEM」搭載の歯科用エアータービンTi-Max Z Seriesが登場した。この性能をフルに臨床で活かせるのはどんな場面か。筆者の臨床応用例を紹介する。

1. Ti-Max Z Seriesの特徴を踏まえた臨床応用

メタルインレー、クラウン、ジルコニア修復装置の除去への応用:

 Ti-Max Z Seriesでは、メタルクラウン除去時、バーにかかる逆回転力に対する高い把持力があるため、芯ブレが少なく一気にメタルを除去できる(図1)。ジルコニア修復装置に対しても同様に、回転数が下がりにくいことから、頬側から口蓋側へと厚みのあったジルコニアを一気に切断でき、かつ低回転・高トルクであるため、振動も少なく、患者にも不快感を与えにくい印象がある(図2)。さらにメタルインレー除去においては、残存歯質を可能な限り保存するため窩壁にメタルを一層薄く残すことが多い。この時、Z990Lのように、低速回転・高トルクであると、メタルを一気に除去することができる(図3)

2. 解剖学的に器具が到達しにくい部位への活用

① 上顎

 上顎歯列では開口すると筋突起が前方へ移動するため、上顎第二大臼歯の頬側遠心面は従来型の歯科用エアータービンの挿入が特に困難であった。本シリーズのZ890Lは、最大出力41W*で320,000~400,000min-¹の回転速度という高パワーにも関わらず、ヘッドの大きさがø10.6mm×H10.8mmと小さく、上顎大臼歯頬側面と頬粘膜の間にできる狭い空隙部分への使用が容易である

* 使用可能給気圧の最大値0.42MPa時の自社試験データ。

② 下顎

 下顎歯列弓には、前後彎曲であるスピーの彎曲と左右側方的なウイルソンの彎曲が存在している。
そのため、支台歯形成時に歯軸に平行な軸面形成を行おうとすると、下顎前歯部や小臼歯部にエアータービンの柄が接触して形成操作を妨げることがあった。Z890Lはヘッド部の直径が小さく、支台歯形成時のバーの視認性が向上し、トルクがZ800Lの約1.7倍あり、かつ100°アングルヘッドで操作性も向上していることから、術者の負担が少ない切削を行うことができる。

3. クラウンの支台歯形成における5倍速コントラとの使い分け

① 臼歯部の支台歯形成

 クラウンの支台歯形成は歯軸に平行な軸面形成と、クラウンの維持、安定を左右するフィニッシュラインの明瞭な仕上げが重要である。筆者は、概形形成にはエアータービンを用いるが、生活歯に対しては高速切削回転による摩擦熱やバーの振動による歯髄充血が起きぬよう、可能な限り短時間で終了している。一方、軸面の第2面、3面における対合歯、隣接歯との連続性確保のための仕上げ形成や、概形形成で生じるJシェイプの除去による明瞭なフィニッシュライン、滑沢な表面を得るための仕上げには、5倍速コントラを用いることが有用で、明瞭なクラウンマージンが見てとれるはずである(図4)

② 審美領域における支台歯形成

 審美領域における前歯部の支台歯形成は、最終補綴装置の歯冠形態を考慮したフィニッシュラインの設定が重要である(図5)

おわりに

 近年、歯科治療におけるデジタル技術の導入が進んでおり、それに伴い、高強度なジルコニアクラウンを使用した治療において再治療が必要になるケースも増加している。エアータービン「Ti-Max Z Series」は、ジルコニアクラウンの除去をはじめ、インレーやクラウンの支台歯形成においても有用であると考える。

※医院での事例紹介や個人的な感想も含まれます


植松 厚夫 Atsuo Uematsu

  • 1985年 神奈川歯科大学 卒業 ; 歯周病学教室助手
  • 1989年 ハーバード大学歯学部 留学(クリニカルフェロー)
  • 1993年 ウエマツ歯科医院 開設(2009年に二子玉川に移転)
  • 2007年 博士号取得(歯学博士 : 歯根膜の研究)
  • 2008年 シンガポール歯科医師免許取得
  • 総合インプラント研究センター 施設長
  • 日本口腔インプラント学会 専門医・指導医
  • 日本臨床歯科学会(SJCD)指導医
  • IDC(Interdisciplinary Dentistry Club)主宰